井川線の貨車は、昭和20年代後半、井川ダムの建設にあたって、中部電力が発電機や変圧器などの大型機材を輸送するため、また大井川で流送できなくなった木材を輸送するために製造したものです。その後、貨物輸送の減少により、一部廃車解体されましたが、旅客輸送の増加にあわせ、スロニ200形・スロフ300形・スハフ500形・クハ600形などの客車に改造されました。一方、事業用として現在も在籍しているものもあります。さて井川線では制御客車であるクハ600形から千頭寄りに連結した機関車を制御する運行を行っているため客車には引き通し線が必須となります。貨車であるcトキ200形にも引き通されておりジャンパ栓が設置されていることが注目です。なお各形式の「c」は、中部電力所有の私有貨車であることを示します。すなわち、井川線の貨車は、車籍こそ大井川鐵道に所属しますが、所有者は中部電力で私有貨車扱いです。