特急ミシュラン File 21 JR東海 85系ディーゼルカー
特急ミシュラン - Michelin Express – File 21 Series 85
JR東海 85系ディーゼルカー 総合評価 ☆☆☆
JR発足後、各社で新型車両が次々と生まれた。
ここでも紹介したが、JR九州の783系などがその代表選手で、特急車両が続々登場した。
さて東海道新幹線を抱えるJR東海が最初に登場させたのは、この85系ディーゼルカー。
新幹線でも特急電車でもなく、新型の「ディーゼルカー」という点が驚かされたが、名古屋から比較的近いエリアに非電化区間が多く残るJR東海の抱える状況をもってすれば、当然であったとも思える。
加えてJR東海が国鉄から継承した80系はあまりにも陳腐化していた。
その置換および所要時間短縮のために開発された85系は、1989年(平成元年)から製作され、まず高山本線の特急「ひだ」に投入された。
(以下、「ひだ」用に製作された車両を初期型とする)
1992年からは紀勢本線の特急「南紀」用(以下後期型)も使用されている。
“無骨さ”が全く感じられない、いい意味で気動車らしくない 「ワイドビュー」の愛称に違わぬ洗練されたデザインと眺望で、平成初期の気動車にしては評価が高い。
アメニティ:グリーン車(初期型)=☆☆ グリーン車(後期型)・普通車=☆☆☆☆
観光客が多い線区で運用されることから、洗練されたデザインの中にも、眺望をもっとも意識したアメニティであるといえる。
前面眺望をウリにするため、前期車ではキハ85の0番台、後期車ではキロ85という非貫通の先頭車を製作しており、分割併合と機能性を考慮した貫通型のキハ85(200,1100,1200番台)とうまく使い分けている。
グリーン車は、初期型がシートピッチ1160㎜の4列シート、半室構造のキロハ84。
後期型が1250㎜ピッチの3列シートを持つキロ85。同じグリーン車でも製造時期によって大きく差があるので、初期型をひだ、後期型を南紀と完全に使い分けていた時はよかったが、今は包括的に運用されているので、同じグリーン車でかなりの格差がある。
普通車も床が200㎜かさ上げされたセミハイデッキ構造で、シートピッチも1000㎜あるので、前者とこちらとの格差も小さく感じてしまう。
それゆえ、キハ85の100番台と200番台の一部に身障者対応工事を施したときに、併せてキロハ84のグリーン席の3列化をしておけば、グリーン車の風格を維持することができたように感じて、惜しいところではあり、ここがマイナスポイント。
ひだは、高山切り離しの基本編成にキロハ84、富山まで行く付属編成にキロ85がつく豪華編成になることもあるが、若干供給過剰である気がしてならない。
経済性:☆☆☆☆☆
以前は初期車をひだ、後期車を南紀、と明確に運用を分けていたが、南紀の利用客がジリ貧であることから、現在は、一応ひだ用の編成と南紀用の編成に分けられてはいるが、包括的に運用されている。
先頭車を作り分けているものの、導入当初から、車両が名古屋に戻ってきたとき、こまめに需要に合わせて増解結しており、この点は評価できる。
また、非電化区間への直通が自在にこなせることから、ラッシュ時は名古屋地区でのホームライナーなどでも活用されている。
利便性:☆☆☆
ひだのダイヤ設定は1時間毎で便利だが、南紀の設定が中途半端。
現状の運用だと、グリーン車が供給過剰気味で、普通車を増やしたい。
このことから、キロハ84は全室普通車にしてもよいのではないか。
また、乗車時間が長くなる南紀は、普通車部分をロビーにして、元のグリーン車部分を普通指定にすると人気が戻るかもしれない。
しまかぜがこれだけ話題をさらうのなら、JR東海も85系でJC作るとか、なんか手はないのだろうか。
ときめき度:☆☆☆☆
ビジュアルと眺望は今でも魅力。JR東海の車両の中では優秀な部類。
以下は改善案を述べる。
以前別稿で述べたが、今や急行は「はまなす」しかないので、「はまなす」も含めて、「急行」のあり方そのものを考える時期に来ていると思う。
私見では、南海のサザンや、名鉄のミューチケットではないが、自由席は近郊型の車両で料金なしで利用でき、リクライニングシートの指定席やグリーン車を必ずつけるようにして、こちらは料金を徴収するようにすればいい。指定席は25キロ300円、50キロ500円、100キロ630円、それ以上750円くらいの4段階の急行料金の設定にし、普通列車とはカテゴリを明確に分けておき、普通列車限定の企画券では乗れないようにする。
みえをこの形の急行に格上げし、南紀と統合すると効率よく運行できるのでは?キハ75とキハ85は足回り共通だし。やってみる価値はあると思う。
セントラルライナーもこの形で運行しておけば、早々に廃止になることもなかっただろう。
ひだはこれまで通り特急で運行し、グリーン車はキロ85に統一したらよい。
大阪発着の列車については、電車並みの俊足の85系の足をもってしても、最高速度が120㎞/hであるがために、130㎞/hで運行される新快速の足かせになっている。
JR東海エリアでも130㎞/hで運行してクルマとの競争力をあげるために、大規模改修時にキロハ84の活用と130㎞/h対応は必須であると考える。
鉄道車両写真集
JR東海 キハ85系 ワイドビューひだ/南紀
| 固定リンク
| コメント (0)
| トラックバック (0)
最近のコメント