特急ミシュラン - Michelin Express - File09 Series 23000
近畿日本鉄道 23000系 総合評価:☆☆☆
大手私鉄トップは、近鉄伊勢志摩ライナー。
大手私鉄で最初に130km/h運転した車両。
6両固定編成で、
1~4号車がレギュラーシート(普通席)、5、6号車が特別車。
リゾート色を前面に押し出した特急用車だ。
19年目の今年、順次リニューアルされている。
アメニティ:☆☆
6号車はデラックスシートで、1+2列のレイアウト。
シートピッチそのものはレギュラーシートと大差ないが、
幅が非常にゆったりしている。
観光色を前面に押し出しているため、デザイン的にも
あまりにも遊び過ぎていて、カラーリングがド派手。
座席自体は悪くないのだが、アーバンライナーほど
落ち着いて乗れないのが難点。
インアーム式のテーブルも形状に難ありで実用性が低い。
ある程度の大きさを超えるとのせにくいのだ。
5号車はサロンカーというコンパートメントがある。
これこそ伊勢志摩ライナーの目玉。
対面式の4人席(サロンシート)、2人席(ツインシート)がある。
大型ハイパノラマウィンドウに、超ゆったりのボックスシート。
ある意味デラックス。
だが、人数分の特急料金で利用が可能。
ある意味、料金面で逆転現象だ。
ゲームや食事が楽しめるテーブルがあるほか、
各座席にはバゲッジラックも装備している。
ただ、4人席側はバゲッジラックの形状の問題から、
奥に入れ過ぎると取りにくい。
かといって、完全に室外にある大型荷物置場は、
セキュリティ面の不安があまりにも大きい。
1~4号車はレギュラーシートで、2号車に身障者対応席があり、
この部分は予約を別枠にしている。これは賢いやり方。
座席はACEシリーズで開発した座席とほぼ同じもので、
かなり固い。
どこぞのぼったくり鉄道会社に蔓延している、
会社名の頭文字を冠するシリーズ同様、
特急車としてどうよ、というもの。さらに
センターアームレストも小さすぎて使いものにならない。
単なる座席仕切りになってしまっている。
見た目よさげだけに、ちょっと残念。
その他の設備としては
4号車デッキ(5号車寄り)に設けられている「シーサイドカフェ」。
優雅な半円形カウンターとビデオモニターを備えた
本格的なサービス設備だが、現在は使われていない。
休日の車内販売が復活した「伊勢志摩ライナー」だが、
ワゴン販売で行われ、ここは閉鎖中。
カフェとして活用されていた頃には車内販売品のほか、
スペイン村グッズなども販売されていたし、
スペイン村のコマーシャルやビデオなんかが放映されていた。
ここから先はサルーンシート、デラックスシートの上級空間が続いているため、
レギュラーシートの乗客の無用な進入を心理的に防ぐ意味合いで残されている感が強い。
(JRグループはこういうところを見習ってもらいたい。特にFile1の287系の開発責任者)
また、運転席直後のデッキは、パイプ椅子を設置して「パノラマデッキ」という展望スペースになっている。
窓も大きく、前面眺望はすこぶる良好。
座席に居るよりある意味いいかも。
サロンカーの出来はいいが、
デラックスシートとレギュラーシートがもう一声、
という感じなので、☆2つ。
経済性:☆☆
6本在籍しているが、順次リニューアルしている。
元々は甲特急の専用のスジであったが、
あまりにも運用効率が悪すぎるので、間合いや出入庫で
乙特急や京奈、阪奈といった都市間特急にも運用される。
6両固定で増結ができないために、
朝の出庫時に大阪線や奈良線の通勤ニーズ
(長距離通勤のピークは10両編成でも満席になる)
に応えることも難しい。
そのため☆2つ
利便性:☆☆☆
伊勢志摩観光の看板だけに、
ダイヤは観光に便利な時間帯に走っている。
しかし、あまりにも観光面を前面に出し過ぎたために、
柔軟な運用ができないでいる。よって、☆3つ。
以下は改善案。
3~4号車間に回送運転台があるので、
ここにACEの2連、4連を挿入できるようにしておけば、
大阪線や奈良線の通勤ニーズにこたえられ、
ラッシュ時間帯に回送スジを盛る本数が減る。
奈良線や大阪線は、この回送スジのために
準急、普通のスジがおかしくなっている時間帯もある
(特に夕ラッシュ時)ので、これは早急に実施してもらいたい。
奈良線は、高安、東花園での出入庫をやめ、
西大寺に常駐させ、奈良に回送するか、
西大寺からそのまま出庫を兼ねて営業運転すれば、
それなりの利用が見込める。また、西大寺から八木へ回送し、
八木から大阪線で営業運転すればいい。
間に挟んだACEは。単品で回送を兼ねて
奈良または西大寺行で営業運転すればいい。
ときめき度:☆☆☆☆
伊勢志摩をイメージし、観光色を前面に出して開発しただけに、
魅力の多い車両ではある。
ただ、あまりにも観光色を前面に出し過ぎたがために、
本末転倒になってしまっている部分もあるので、
リニューアルで改善されることを切に望む。
その期待を込めて星4つ。
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