サイキョージ氏の鉄旅 「木次線、芸備線に乗ってきました。」
4/6 1日目
今回利用したきっぷは「こだま・やくも指定席往復きっぷ」。
大阪市内~米子で\12,000だから
ほぼ40%の割引率でお得なきっぷである。
新大阪~岡山間に「こだま」を利用しても
「のぞみ」に比べて20分ほどしか違わず座席も快適なので
各駅での通過待ちの時間も我慢の許容範囲である。
旧ひかりレールスターに乗り、
岡山でやくも9号に乗り換え新見で下車。
「こだま・やくも」のきっぷは下車前途無効になるので
多少もったいない気がするが
帰りは米子から利用するので、これでも十分元がとれる。
新見で昼食後、きっぷを「青春18」に変え
13:00発の備後落合行きの単行気動車キハ120に乗車。
車内は春休み中であるにもかかわらず
部活帰りの高校生が多いのか満席である。
運転手のほかに保安要員も2名乗車している。
「鉄」の指定席に保安要員が立っているため
前方の写真が撮れない。
高校生以外は地元の人が少しと
あとは「鉄」とおぼしき人たちである。
新見(岡山県)~東城(広島県)間(25Km約35分)は
1日6往復の運行であるが通学時間にあわせたダイヤを
組んでいるため高校生たちの通学列車の様相である。
東城まで乗っていた生徒もいたので、県境を越えて
通学に利用している高校生もいることがうかがえる。
東城の一つ手前の駅までは岡山県なので
新見地域と行政上での区分は異なるが
同じ文化圏で人の往来が多いようだ。
東城~備後落合間(25Km約50分)、
車内はカメラとデイパックをもった「鉄」とおぼしき人のみ。
運行本数は備後落合まで1日3往復のみで
通学時間にあわせたダイヤを組んでいないため
「鉄」しか乗らない路線になってしまっているようだ。
列車が駅に止まっても誰も乗らない。誰も降りない。
この区間に住む高校生たちは
どのような通学方法をとっているのだろう。
東城を過ぎると気動車は成羽川(高梁川の源流)沿いの
山峡の崖っぷちをゆっくりと進む。
芸備線で一番の難所である。
15,20,30という速度規制の立て札があちこちにある。
保安要員は図面を確認しながら
線路状況をチェックしているようだった。
先日来の雨で倒木や落石があった様子で
この区間は特に注意を払っているようだ。
JR西日本はここを廃線にする以外
抜本的な対策を講じることはないだろう。
危ない箇所があれば即運休にして代行輸送すると思われる。
道後山駅の改札口に
「国鉄ご利用ありがとうございます」
というかわいい看板が掲げてあった。
駅舎も国鉄時代のままである。
ただ利用者と列車の本数が減っただけで
そのまま時が過ぎ去ったようだ。
哀愁を感じつつ小島原橋梁をすぎると14:23備後落合に到着。
この列車は折り返し新見行きになる。
備後落合は山峡にある秘境ターミナル駅といってもいいだろう。
ここから山陰方面に木次線が分岐する。
駅には木次方面から到着した単行気動車が待っていた。
すぐ後に三次からこの駅で折り返す単行気動車が到着し
駅には3両の車両が止まり
「鉄」しかいなかったホームは、つかの間の賑わいを取り戻す。
備後落合駅は蒸気機関車の時代、機関区があり
たくさんの鉄道関係者が働いていた要衝の駅だったのである。
ホームの「鉄」は3方向のいずれかの列車に乗り
備後落合を出発し駅は静けさをとりもどす。
私は木次線の単行の出雲横田行きに乗り換える。
木次線は4月1日より運行する「奥出雲おろち号」にあわせて
出雲横田~備後落合間の運行を再開したばかりだった。
積雪を理由に3か月間も運休(代行輸送あり)になっていても
誰も困らない路線になってしまっているところがなんとも悲しい。
備後落合~出雲横田間の運行も1日3往復。
備後落合を出ると30‰の急勾配がつづき、
油木と三井野原の間で島根県との県境を越える。
三井野原駅はJR西日本の最高点で標高726m、
スイッチバックを経て標高564mの出雲坂根に下りてくる。
乗っていて圧巻である。
鉄道と併走する国道314号が整備され出雲坂根まで
急勾配を下る気動車から
美しい3段のループ橋(通称おろちループ)が見える。
車を使えばこの鉄道の難所も
あっという間に移動できるようになっている。
地元の人が鉄道を利用することはほとんどない。
それだけに観光鉄道に生き残りをかけて
「おろち」号を発展させてほしいものだ。
「鉄」でなくとも、このスイッチバックは観光資源になると思う。
さて気動車は出雲横田に到着。
ここで20分ほど停車しそのまま宍道行きになる。
出雲横田は駅員もいる駅で
駅舎の入り口に巨大しめ縄がかかっている神社風の
すばらしい駅舎である。
「鉄」の皆さんは心得たもので
駅前にあるコンビニで食料や飲料を調達し
トイレも済ませて車内に戻って来られた。
ここから宍道までは地元の人の利用もあり
普通のローカル線の風情である。
宍道着17:36ここで山陰線に乗り換え玉造温泉に1泊する。
4/6 2日目
玉造温泉から米子に向かい境線の鬼太郎列車に乗りに行く。
出雲市~松江~米子間は距離にして約60Km。
この間は電化もされ鉄道の便が良い地域であるが
伯備線に直行する列車以外は電車が使われずに
気動車での運用が多い。
気動車のほうが安上がりなのかなと思ってしまう。
米子から「鬼太郎列車」に乗って境港に到着。
キハ40を改造した鬼太郎ラッピングの気動車が
4種類運行されている。
座席も車内もキャラクターに統一された
JR四国の「アンパンマン」列車のようだ。
境港駅に降り立つと
町全体が鬼太郎テーマパークのようになっていて、
楽しくなってくる。
町おこしが成功した事例だと思う。
再び米子に戻り「やくも・こだま」と乗り継いで帰宅した。
最後に、
JR東日本が岩泉線の廃線を決めたように
JR西日本も早晩、芸備線の東城~備後落合間、
木次線の出雲横田~備後落合間を廃止するのではなかろうか。
並行する道路状況も岩泉線よりはるかによく、
廃線にしてもバス輸送で事足りると思われるからだ。
廃線を防ぐためにも境線のように
周辺自治体がJRに対して観光路線に徹して生き残りを計るように
働きかけをしていくべきであろう。
一案として備後落合の転車台を再整備して
新見~備後落合間でおろち号に接続する
SLイベント列車「ヒバゴン号」を運行するのはどうだろう。
昔の賑わいを知る人にとっては涙がでるだろうし
停車駅で地域の特産品を売れば地域の活性化にもなる。
ツアー客を呼び込むために
備後落合駅前を大型バスが入れるようにして
出雲横田~備後落合間もしくは備後落合~新見間だけでも
観光列車に乗ってもらえれば
十分採算が合うのではないだろうか。
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