« Dr`K 2011年3月の鉄旅 その4 九州新幹線 「さくら、みずほ」 乗車記-3月12日-  | トップページ | 名古屋鉄道 瀬戸線用 6600系 6750系をUP »

2011年3月18日 (金)

2011年3月の鉄旅 その5 287系 こうのとり乗車記

287系 特急「こうのとり」 普通指定席 グリーン席 乗り比べ

13日の埼玉への出張は月末に延期となり、
無性に温泉に入りたくなったので、城崎に出かけることにした。

3月13日(日)

● きのさき5号( 京都 13:25 ~ 城崎温泉 15:49 )

京都駅31番乗り場に13時15分に到着。
すでに列車は入線していて折返し運転のため清掃中だった。

編成は287系4連の第1編成。
半室グリーン(以下ロザ)の1号車を含め、
321系、225系と同じオール半M編成。
クモロハ286という形式が起こされた。
構造上も特異な構造だと感じたので、
ゆくゆくは「珍車ギャラリー」で扱っていただきたい車両だ。
実際、往復とも指定された席は1号車だったので、興味深かった。

このクモロハ286は、運転席直後にデッキがあり、
デッキから入るとまずロザ、仕切りをはさんで、
普通席(以下ハザ)、さらに連結面にトイレ、
という構造になっている。
デッキとトイレが逆の車端にあるのは
サンダーバードと同じ方式で、
はまかぜに投入された189系ディーゼルカーもそうだが、
デッキの向きをそろえている。
従来のクロハ183はデッキが普通席側にあった逆の構造なので、
ちょっと驚いた(感じた問題点については復路で詳述)。

往路は京都駅からスタート。
嵯峨野(山陰)線は、園部まで複線化されたが、
京都駅から梅小路機関区までの間は、
上下線の亘りのために、
東北線の青森口(現青い森鉄道区間)のように、
単線のままになっている。

287系は、振子用車両ではないが性能は良く、
381系で走るスジをカバーできる足回りは素晴らしい。
座席の掛け心地は683系同様快適で、
183系とは雲泥の差。
だが、京都市内は円町まではカーブが多く、
非振子車のため183系と似た振動のヨコGを感じる。
さらに、この287系は、
日根野の381系置換えで「くろしお」に投入されるのも
決まっている。
このことから、287系は183系の性能のままではまずいが、
381系と同じスジをより経済的に走れることを狙った
ローカル特急用で--、というのが
みえみえの妥協度満点の車両である。

国鉄末期、今は183系に改造されている485系が
大量に余ったため「くろしお」に投入されたものの、
線形の厳しいきのくに線では故障が多くて使い物にならず、
結局、
伯備線電化で米子鉄道管理局に送った381系を呼び戻す、
というマヌケなことになる前に、
サンダーの直流廉価版よりは
283系の量産化バージョンを導入し
北近畿と南紀を一体化して車両運用し、
予備車を共通化(宮原か京総で両者を一元管理して、
九州の885系のような運用のやりかたを)した方がいい。
287系でそろえるのならなおさらだ。

園部を過ぎて単線区間に入ると、
とくにその思いを強くする。
保線状態が園部までよりも明らかに悪くなるので、
加減速はスムーズなのだが、
ポイントを通過する時の揺れ(ヨコG)が
381系よりもはるかに大きい。
N700系などと同様、
空気ばねを利用した簡易傾斜装置でよいから、
車体傾斜装置は必要だと思った。

舞鶴線と合流し、複線に戻る綾部まではこの状況が続く。

上りきのさき16号と交換するため、和知で運転停車。
前後の下山、安栖里もそうだが、
両者を狙う鉄チャンがそれなりにいる。
そこまでの車窓でもポツポツと287系を狙うカメラの姿があった。

綾部では3番線に到着。
ここから福知山までは複線になり、
287系の足回りの性能の良さが味わえた。
福知山には3番線へ定時(14:42)に到着。
向かい側の4番線に到着する「こうのとり11号
(新大阪発福知山止まり)」の客を拾って乗車率がやや上がる。

京都方面のホームに目をやると、
おなじ287系の「はしだて4号」(14:40発)がまだ停まっている。
あれ?
この列車とは福知山駅手前ですれ違い、
381系「こうのとり16号(福知山14:37着、14:42発)」が
「きのさき5号」の福知山着を待って発車するように
ダイヤはなっているはずなのだが…はて?

福知山からは単線になるので、
こうのとり16号を待たなければならないはずだが、
きのさき5号はこの列車を待たずに福知山を発車した。
こうのとり16号にけっこうな遅れが発生しているようだ。

福知山を出ると、
何度見ても不思議な車窓をしばらく眺めることになる。
福知山基地への回送線は立派な複線で、
山陰本線とKTR宮福線は両社間の亘り線をすぎると
両者は単線並列で地上に下っていく。
一見どちらが本線かわからない。

KTR宮福線とは、
KTRの荒河かしの木台駅まで完全に並走する。
KTRにはここまでに厚中問屋駅もあるが、
JR山陰線は上川口まで6.7キロ駅がない。

本来、次の上り列車との交換は
和田山(こうのとり18号)のはずだが、
下夜久野で予定外の運転停車で7分停まる。
単線区間の宿命だが、
本来は福知山で交換するこうのとり16号と
436M普通の2本の列車とここで交換するためだ。

停車してほどなく、
毒々しい末期色の113系ワンマン対応車の436Mが通過。
この列車は上川口で後続のこうのとり16号に抜かれる。
さらに待つこと5分、
381系のこうのとり16号が通過しようやく動き出す。
列車は梁瀬を8分遅れで通過。

ここで車掌の案内放送。
和田山の3番線に8分の遅れを引きずったまま到着。
向かいの4番線ではこうのとり18号が発車を待っていた。
八鹿でも普通列車と交換。
豊岡では2番線に到着するのだが、
381系こうのとり20号が1番線でやはり待っていた。

玄武洞ではキハ40系の普通豊岡行き、
終着駅の城崎温泉では
キハ189系の臨時特急カニカニはまかぜと、
各駅で交換相手を待たせることとなりながら、
約7分遅れで到着。

下車した小生は、折返し間合いを利用し、
駅改札右手すぐにある外湯「さとの湯」で温泉を、
駅向かいの海女茶屋で但馬牛カレーを堪能。

● こうのとり24号( 城崎温泉 17:02 ~ 新大阪 19:53 )
但馬牛はうまかったのだが、完食して時計を見ると16:59。
こうのとり24号の発車時刻まで3分前。
会計を済ませて大急ぎで駅へ。
跨線橋を渡り、3番線に猛ダッシュ。

跨線橋を降りたところが1号車なので、これは正直助かった。
ぎりぎり飛び乗った…と思いきや、
接続をとる浜坂からの180D普通豊岡行が、
往路の余波で10分遅れとのこと。
この接続をとるため9分遅れたので、
あわてる必要などまったくなかった。
落ち着いて改めて車外に出て缶コーヒーを購入。

帰りは奮発してグリーン車を奢る。
横3列。一人掛けのC席。
城崎温泉の時点でロザが半分以上埋まっている。
4両しかないためか、
車掌氏によると普通車もほぼ満席とのこと。

豊岡は8分遅れで到着。
ここでは多数の乗車があり、ロザはほぼ満席となる。
江原、八鹿でもまとまった乗車があり、
乗車率もどんどん上がる。
国府で113系普通、八鹿ではこうのとり15号と交換。
和田山でやや遅れが回復する。

1号車のハザは和田山発車時点で満席になった。

上夜久野で223系5500番台普通と交換のため運転停車するも、
福知山では遅れが6分まで回復する。
福知山ではタンゴディスカバリーを使用した
「はしだて14号」と接続をとる。

両者の間で相互にまとまった数の乗客が入れ替わるため、
1号車のハザの客も約3分の1が入れ替わる。

287系は全車城崎温泉・天橋立側にデッキがあるため、
1号車のハザの客が各停車駅ごとに乗り降りのため
ロザを通りぬけていく。
そのためにデッキのドアが頻繁に開閉する。
グリーン車というのはそれなりの--つまり
通り抜けるのをはばかるような雰囲気があるものなのだが、
そんなもんあったもんじゃない。
せめて乗車口案内だけでも、
スーパーはくとのように
隣の車両(2号車)の乗車口から1号車ハザの客も
乗せるように案内すべきだ。
183系では編成側にデッキがあるので、
ハザを通り抜けることがあっても、
ロザを通り抜けるのは基本車掌か、
車掌に用事のある客だけだ。
そこは残念ながら183系のほうがいい。

くろしおに287系を導入するつもりなら、
ラッシュ時にかかる列車は停車駅が多く、
特に和歌山は乗降客が拮抗していて途中駅ではずば抜けて多い。
上り列車だと新宮発列車の白浜、紀伊田辺乗車が
同じ状態になることが容易に想像できるので、
この問題は287系導入前に手を打っておくべきだ。

三田以降、じりじりと客が減っていく場合についても同じ。
これについてはどうにかしてもらいたいものだ。
福知山を過ぎて福知山線に入ると、
カーブが多い単線区間のため287系と言えどよく揺れる。
ここでも381系をカニ臨で利用した時に
振子のありがたみを感じたところだ。

篠山口では207系快速がこの列車を待っていた。
篠山口以降は複線になり保線状態もよくなるので、
287系が実力を発揮できる区間であるが、
列車密度も上がるわりには待避駅が少ない
(広野、新三田、宝塚、川西池田、塚口の5駅しかなく、
上下同時に待避できるのは新三田と川西池田だけ)ので、
宝塚で発車順序に変更があると
先行列車にひっかかり遅れを取り戻すところまではいかない。

三田からは少しずつ乗車率が下がっていく。
ほぼ満席だったロザも宝塚で5人下車したので、
新大阪までロザに乗車したのは私を含めて3人だった。
新大阪には5分遅れで到着。

287系は、特急車両として設備は及第点だが、
車体傾斜装置をつけなかったことと
半室グリーンの乗客の動線には不満が残る。
製作コストを下げるため必要以上に妥協した車両と言えると思う。

JR他社の直流特急車と比較すると、
東海の373系や東の255系、E257系よりはいいとは思うけど、
100点満点でいうと50点そこそこ。
今年デビュー15周年を迎える283系オーシャンアローのほうが、
総合的にみても上だと思う。
なんか、スーパーひたちとフレッシュひたちのようで、
新車になったはいいけど、
先に出た上位種のほうがグレードいいじゃん。
っていうちょっと残念な状況だと思った。

|

« Dr`K 2011年3月の鉄旅 その4 九州新幹線 「さくら、みずほ」 乗車記-3月12日-  | トップページ | 名古屋鉄道 瀬戸線用 6600系 6750系をUP »

鉄道旅行記」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 2011年3月の鉄旅 その5 287系 こうのとり乗車記:

« Dr`K 2011年3月の鉄旅 その4 九州新幹線 「さくら、みずほ」 乗車記-3月12日-  | トップページ | 名古屋鉄道 瀬戸線用 6600系 6750系をUP »