サイキョージ氏とDr'K 西日本パスで旅する!!1日目
JR西日本では、この春5/8~6/29にかけて利用できる「西日本パス」を発売しました。
JR西日本、JR四国全線に加え、JR九州の一部(おおむね久大線以北)が乗り放題というものです。
金土日月の連続する2日あるいは3日間利用出来るもので、山陽新幹線を含めて区間内のJR特急なら指定席は4回(3日用では6回)まで利用できます。もちろんいうまでもなく自由席なら乗り放題です。
JR東日本の「土日きっぷ」に似ていますが、7日前までに購入しなければなりませんし、
キップの案内券面には「2名様以上で、連続する2日間同一行程でご利用下さい」とあります。
思い立ったが吉日で、おいそれと使えるものではありません。
でも、まあ…制限はありますが、それにしても安いですよね。
なにせ、新大阪から博多まで新幹線「のぞみ」で片道14890円。
これだけで元は取れてしまいます。
Dr'Kによると、この手のキップで4000円ほどお値段が高かったのがあったそうです。
今回2日間用が、12000円というのは、定額給付金の額を意識したものと思われますが、
それにしてもこれほどダンピングしてくれるのは、高速道路休日1000円乗り放題に対抗したものでしょう。
鉄チャンとしては、有り難い限りです。
青春きっぷよりはかなり割高ですが、青春キップでの日帰り圏内はおおむね行き尽くした感があるので、旅が出来る範囲が広がるのがまず嬉しい。
青春キップなら、岡山がいいところの所要時間で、博多まで行けてしまいます。
加えて、普段指をくわえて眺めているだけの憧れの特急列車に乗れるのです。
憧れといえば、グリーン車。
自腹で乗ることなんて、まずないものですが、「西日本パス」なら4000円の追加で、最大4回(3日用では6回)まで利用できます。
これも安い!新大阪から博多まで新幹線でグリーン車を利用したとしたら、
これだけで片道5790円の追加が必要です。
JR四国のバースデイキップですっかりグリーン車が気に入ってしまったサイキョージ氏が、このキップに目を付けないはずがありません。
Dr'Kを誘って、西日本パス-グリーン車-の旅をされました。
一日目
新大阪7時42分発の「のぞみ97号」で小倉へ向かいます。
N700系の10号車、もちろんグリーン車です。2×2ではありますが、ほどよい堅さを感じさせる上級の座り心地にグリーン車であることを感じます。
読書灯をつけたりするのですが、思わず荷物棚を見上げてしまうのは田舎者。
読書灯は座席にビルトインされているのです。
なにせ、山陽新幹線は、トンネルが多いものですから、車窓の景色を楽しむのには向いていません。それだけにこうした小物にも価値が感じられます。
上質な車内空間は、山陽新幹線において、とりわけお値打ちといえるかもしれません。
小倉からは、普通列車に乗り継いで門司港へ向かいます。
この春開業にこぎ着けた、新しいトロッコ列車「やまぎんレトロライン」に乗車するためです。
門司港では、ゆうゆうと西日本パスを見せて下車したいところですが、
何とこの区間は別途キップが必要となっています。
ついでにいえば門司港-博多間の在来線には、このキップでは乗れないのです。
グリーン車に乗ってきたような人間は、こんなケチくさいことを言わないでしょうが、
私にしてみれば、「門司港-小倉間往復540円也。」
は、「してやられた!」という感じです。
さて、「やまぎんレトロライン」です。
門司港駅から関門海峡沿いに伸びていた貨物線跡を再利用した。
いわば、街中を走るトロッコ列車です。
こんなのが、果たして成り立つのだろうかと思いましたが、
多くの乗客が列をなして乗り込んでいると聞き、面食らってしまいました。
団体客と遭遇したわけではありません。
海峡を挟んだ様々な乗り物とセットされたキップなど、
思い思いのキップをここで皆さん購入されてるのです。
サイキョージ氏とDr'Kが選んだキップは「一人2回キップ」です。
500円で2回乗れます。
一乗車300円ですから、往復するので100円お得です。
でも早く並んだからいいようなものの、ゆっくりしてたら、満員に付き、指定席車に乗るしかないなんてなことになりかねない盛況ぶりです。
満員で出発した列車は、片道10分ほどで終点に着いてしまうのですが、
わざわざ眺めのいいところに路線を付けたのではないかと思うほど景色がよく、
なおかつ変化に富んでいます。
最後にはトンネルもあり、ちょっとした旅行気分になれます。
お二人は、つい数十分前には、時速300km/hでこの九州の地に向かってきました。
この緩急の落差がたまりませんね。
このトロッコ列車を運行するのは、平成筑豊鉄道。
かつて、筑豊地区の石炭輸送で活況を呈していた路線を引き継いだ第3セクターの会社です。
貨物亡き今、当路線の経営は誠に厳しいものがあります。
この「やまぎんレトロライン」は平成筑豊鉄道の路線ではありませんが、
列車の運行は、この平成筑豊鉄道に委ねられています。
鉄道経営の厳しさを知るだけに、コストを抑えるいろんな工夫が見られます。
エンジンを取り替えたとはいえ、機関車は南阿蘇鉄道で使用されていたものです。
開放型展望客車(=トロッコ)は、路線縮小でお払い箱になった島原鉄道のトロッコ客車です。
このトロッコ列車を景色のよい区間に限定して運行し、
乗車時間は短いものの、あえて頻繁に運転することで
他の観光資源との相乗りも考慮して多くのお客様に楽しんでいただくというコンセプトで成功しているのだと感じました。
少なくとも今日に限っては、乗客数はレトロラインのほうが多いのではないでしょうか。
再び小倉に戻り、今度は、ソニック17号で大分に向かいます。
もちろんグリーン車です。
北九州の名物駅弁「かしわめし」を仕込んで乗り込みます。
美しい客室乗務員の方からウエルカムドリンク(無料)のサービスがありご機嫌です。
もちろん、おしぼりのサービスもあります。
実は今回サイキョージ氏が入手に最も手間取ったのが、この列車のグリーン券です。
ソニック17号に用いられる885系のグリーン車は、先頭車のすぐ後ろの半室部分しかありません。おまけに3列シートです。
絶対数が少ないのです。
カレチ氏聞くと、ここ数日、土日は「西日本パス」のお客さんばかりだとか。
運転室が、かなり広いので思ったほど前面展望はよくありませんが、それでも、車体を傾けてカーブに切り込んでゆくような走行感は十二分に楽しめます。
黒いレザーがなんともシックな大型の座席の座り心地もなかなかのものとのこと。
苦労した甲斐があったというものです。
大分からは、今回の目的地、由布院に向かって「ゆふDX号」に乗車します。
キハ183系1000番台という珍車を限定使用する列車で、モノクラスではありますが展望室を持った車両です。
指定席ですので、指定したいのは山々ですが、これを指定すると、あと1回しか指定券枠は残りません。
帰りの「のぞみ(グリーン車)」と「ゆふいんの森号」にこれを使ったので、乗車区間が短い「ゆふDX号」は自由席にしました。
大分駅が高架工事中ということもあって、すぐ久大線の新ホームに向かいましたが、正解でした。「ゆふDX号」はほぼ満席で由布院に向かいます。
余裕があれば、大分名物「関サバの押し寿司」を買いたかったのですが、見あたらず断念と相成りました。
あとで時刻表を見たところ、大分駅には駅弁マークがないではありませんか。
久大線、豊肥線への乗換だけでなく、ソニックからにちりんへの乗り継ぎ等、旅人が駅で弁当等を購入する機会は多いはずなのに…いったいこれはどうしたことでしょう。
別府からトンネルをぶち抜けば、由布院駅まではすぐの距離ですが、「ゆふDX号」は大回りをする形で、ずんずん山を登ってゆきます。思いの外高いところにゆふ高原はあるのです。
由布院に到着。
ホームはすごい人だかりです。
「ゆふDX号」は下車する沢山の乗客をはき出した分以上の乗客を乗せて発車してゆきました。
さて、本来はここ由布院から南由布院までの短区間トロッコ列車-トロQ号-に乗車するつもりだったので、時間的にはゆとりがあります。
由布院散策と温泉そして地ビール館へゆこうということに相成りました。
観光スポットでもある金鱗湖まで、人混みをさけ川沿いに向かってゆきます。
のんびり歩いて20分足らず、金鱗湖畔にある下ん湯で入浴します。
わらぶき屋根の小さな共同浴場ふうの温泉に番台はありません。
道ばたにある無人野菜売り場の料金箱みたいなところに200円也を入れ、入浴します。
2.3人ほど先客がいましたが、人出の割には少ないなあといったところです。
それこそ、由布院が有名になる前…、20年ほど前になるでしょうか。
私もここで入浴しました。
冬だったせいか。お湯がぬるくて寒かった記憶があるのですが、
それよりもびっくりしたのは、
おばあさんが、すっぽんぽんで入ってこられたことです。
「女風呂に間違えて入った!?」---
その時、私一人しか入浴していなかったのでこれはあせりました。
おばあさんが出られるまで、ずっと浴槽から出れずにいた気の弱い私でしたが、
お湯が熱かったら倒れていたかも…今となっては懐かしい思い出です。
ちなみに一応今も混浴ではあるようですが、男性客しかいなかったそうです。
お風呂上がりは、メインストリートを散策しながら駅方面へと向かいます。
おしゃれな飲食店やおみやげ屋などが並び、なんか九州の軽井沢といった感じの趣です。
しっかり、観光を楽しむサイキョージ氏とDr'Kです。
さて、お次は、地ビール館です。少しメインストリートから外れたところにあるのですが、何とお休み!
仕方なく駅前で居酒屋風のお店を探しますが、
時間も4時前ということになると休憩タイムということで営業していません。
17時7分発の「ゆふいんの森6号」に乗車するわけですから、
ここで時間待ちに風呂上がりのビールを飲むのは、最高。
というところですが、普通に考えたら、
ここ由布院で、この時間に一寸一杯ということはないわけですから、
仕方ないことかもしれません。
それでも懸命にお店を探したサイキョージ氏は、
焼き鳥を肴にビールをお飲みになりました。
「歯ごたえのある地鶏であった。」と感想を述べておられます。
ゆふいんの森6号は、キハ72系でした。
キハ65.58改造の1世ではなく、新造の「ゆふいんの森2世」です。(正しくは、新ゆふいんの森2世というべきですが…)
私だったら、1世のほうに乗りたいところですが、
サイキョージ氏とDr'Kは、2世に乗れたと喜んでおられました。
2号車に乗車されたわけですが、出発するなり通路には、長い人の列です。
皆さん、隣の車両にあるビュッフェで飲み物食べ物その他いろんなグッズを買おうと並んでおられるのです。
JR九州は、商売がお上手です。
この「ゆふいんの森号」限定の商品を車内放送でもアピールし、
旅人たちの購買意欲に火をつけます。
お二人も、ワインを初め色々なものをお買い求めになりました。
どうやら「ゆふいんの森号」には、不況風は吹いていないように思われます。
久留米からは、鹿児島本線に入ります。
電車特急が頻繁に走る区間です。
ディーゼル特急である「ゆふいんの森号」は、
懸命のラストスパートで博多へと向かいます。
この区間を走る「ゆふいんの森1世」に乗ってみたいなあ。
博多へ到着。
まだ19時15分ですから、今から中州へでも繰り出して飲める時間です。
しかし、明日もあります。
最終「のぞみ」で大阪に向かうという無茶はやめておいて、
「のぞみ96号」で大阪へ帰ります。大阪到着は21時58分です。
それにしてもこの時、博多駅で駅弁が変えなかったそうです。
全部売り切れ!
仕方なくコンビニにあるものですませたそうですが、ひどい話です。
唯一買えた、小倉駅の「かしわめし」にしてもだいぶ探し回られたとか…
旅の楽しみである駅弁は、もはやスーパーマーケットの駅弁大会で買い求める代物となったのか。
---二日目へつづく---
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コメント
Kです。
この日のなんとなく一番トクしたなぁ、と思う列車は、K的には「ソニック17号」です。
この日は、検査の日程と走行距離の調整の兼ね合い(「白ソニ」と「かもめ」の885系は予備が共通で1本しかなく、「かもめ」が運用数に対して1本多いのと、白ソニはフル運用で1運用での走行距離が「かもめ」編成より長いから)だと思いますが、やってきたのが「かもめ編成」(第4編成)だったからです(ちなみに長崎線で事故に遭遇し、代替新製車の400番台を組込んだ第3編成だったらもっとすごい確率なのですが。Kは「かもめ」編成の「ソニック」はまだ乗ったことはなかったので。逆の白ソニ編成の「かもめ」は定期運用が存在するので、ある程度狙って乗車可能です)。
投稿: Dr.K | 2009年6月16日 (火) 23時06分
大分在住の者ですが一言。
> あとで時刻表を見たところ、大分駅には駅弁マークがないではありませんか。
> 久大線、豊肥線への乗換だけでなく、ソニックからにちりんへの乗り継ぎ等、旅人が駅で弁当等を購入する機会は多いはずなのに…いったいこれはどうしたことでしょう。
大分駅は思われてるほど乗り継ぎなどの客は少ないですよ。
県庁所在地なのでたいがいの人が大分駅で降ります。
数少ないソニックにちりんの乗り継ぎですが、
下りは別府駅での乗り継ぎが、上りはソニック内で車内販売あるので
大分駅ホームでの需要は少ないようです。
また、改札外の駅コンコースに弁当屋やファーストフード店がありますので、
それで良しとしてるのでしょう。
投稿: JAC | 2009年6月26日 (金) 19時18分
JAC様、コメントありがとうございます。
たしかに、下りソニックから、にちりんに乗り継ぐなら、別府ですよね。
当日も別府でたくさん下車されたようですが、ここで乗り継ぎの乗客もいらっしゃるように思います。
それにしても、寂しいですね。
高架工事が完成すれば、イメージもぐっと変わってしまうのでしょうが、
大分駅の「駅ナカ」をイメージアップさせるまたとないチャンスともなります。
他の駅にはない魅力を醸し出してほしいなあ。と思います。
投稿: 局長 | 2009年6月26日 (金) 20時14分
JACさん。コメントありがとうございます。Kです。
以前仕事で大分を訪れたときに思ったのは、
大分は空港を除いて、町の機能が大分駅周辺に
コンパクトにまとまっていて、非常に効率よく
移動ができたため、暮らすには便利かも、という風に
感じられました。
県庁所在地の代表駅のようなところが高架化される
際に、機能性が追求されるあまり、綺麗にはなったけど風情というか、味気がなくなったなぁ、と思う駅がけっこうあるんですよね。
(例えば、福井とか、奈良とか)
局長さん同様、大分駅の高架化が完成したときに、地平駅時代以上の「駅ナカの魅力」を期待し、大分の益々の発展を祈願します。
投稿: Dr.K | 2009年6月26日 (金) 23時25分
博多の屋台で飲めればいうことなしだったのだけど「ゆふいんの森」に乗れてよかったですね。
投稿: Saikyoji | 2009年7月 2日 (木) 13時59分