名前というのは、元来、他と区別するためにつけられるべきものです。
今のところ私の周りには同姓同名という人はいませんので、今の名前で何の問題もなく暮らしていますが、かつて私の職場には、同姓の美女(美佐子さん)がいて、区別するときに「美しい方の…」とやられたものですからたまったものではありません。
もっとも「美しくない方の…」と言われたことはありませんが、「美しい方の…」と使われる度に「じゃあ、俺は何なんだ!」と言いたくもなります。
というわけで、やはり同じ名前というのは、避けられるものなら避けたいものです。
さて、この10月18日、JR西日本は、東海道本線に「桂川駅」を開業します。
名勝地嵐山から流れる桂川の西にあることからつけられたもので、近くを走る名神高速道路にも桂川PAがあり、この地に設置される駅名としては何の問題もなさそうです。
しかし、同じレールのその先に、同じ字面で同じ読みの駅が存在するのです。
函館本線「桂川駅」です。そしてよみは違いますが、筑豊本線、篠栗線に「桂川(けいせん)駅」が存在します。
京阪神地区から、これらの駅へゆくキップを買う方は、まあめったにいないでしょうが、桂川新駅は、天下の東海道本線の駅で、それもJR西日本のドル箱アーバンネットワークの駅ともなります。
利用者の数は、比べものになりません。
それどころか。この駅自体を利用する人以外にも大きな影響を及ぼすことになるのです。そして、その数がまたハンパではありません。
トラブルの原因にならなきゃいいのですが…。
浮間舟渡(うきまふなど)という駅をご存じでしょうか。
東京都北区浮間4丁目と板橋区舟渡2丁目にまたがる埼京線の駅です。
首都圏にあるJR東日本管内の駅をうろうろしていると、時々この浮間舟渡駅行きのキップが落ちていることがあります。
一日の乗車人数は2万人足らず、ギネスブックにもに世界一と認定された新宿駅の40分の一ほどです。乗車人数が2万人を越える駅は、都内に山ほどあります。なぜ浮間舟渡なのでしょう。
それは浮間舟渡駅が、東京23区内の北端駅だからです。
私の友人のN川氏は、東京虎ノ門にある企業のビジネスマンで、よく東京へ出張するのですが、彼の会社の工場は東北線(宇都宮線)蓮田にあります。
彼は東京出張の際、会社から「のぞみ」の特急券とともに東京都区内-大阪市内の乗車券があてがわれるのですが、蓮田から直接帰阪する場合は、浮間舟渡駅までの乗車券を別途購入するのです。
もちろん彼は東北線を利用し、埼京線などは利用しません。
しかし実は埼京線は、正式には東北本線の別線扱いであり、これが正しいキップの購入方法なのです。(これとよく似たものに大阪市内の西端駅となる加島駅があります。)
閑話休題
実は、桂川新駅は、京都市内駅の西端駅となるのです。(K博士がJR各社に問い合わせて確認済み)
他の市内ゾーンの末端駅で、紛らわしい駅はと言うと、北九州市内の「朽網(くさみ)」「呼野(よぶの)」、福岡市内の「福工大前(ふっこうだいまえ)、仙台市内の「奥新川(おくにっかわ)」と言うところでしょうが、いずれも難読駅のレベルで、読み間違えて恥ずかしい思いをする程度です。
しかし、桂川駅は、同名の駅が存在することになります。桂川新駅が、京都市内のそれも天下の東海道本線における西端駅となれば、「京都市内」発着の乗車券類にアプローチする別途券の取扱量はハンパではないと思われます。
もっとも同じ京都府にある東海道本線 山崎駅は「(東)山崎」と表記されることから、新駅の単駅表記は、おそらく「(東)桂川」になると思われます。
正しく操作すれば、誤ってキップが発行されることはないと思いますが、ややこしい話になるのは確かです。
それにしても、大混乱を招きかねない駅名をどうしてつけるのでしょうか?
湊町をJR難波とするくらいなら、「JR桂」でも良さそうなものです。
トラブルにならなきゃいいんですが…、本当に駅員泣かせの駅をつくったものです。
紛らわしい駅一覧(JS3VXWの鉄道管理局;駅名エクスプローラー)
(①同じ表記で同じ読みの駅)(②同じ表記で読みが違う駅)
それはさておき、K博士から、桂川駅についておもしろいコメントが寄せられました。
東海道本線と函館本線上にそれぞれ「桂川」と「山崎」の両駅があり、以下の条件を満たしている。
A.有効期間が1日しかない近距離運賃の距離しか離れていない
(JR京都線:8.7km=170円、北海道:36.1km=710円)
B.1本の普通列車で移動ができる。
C.両駅がともに同一都道府県下にある(北海道と京都府)。
※ このような例は他に、「草野」と「広野」(常磐線と福知山線:福島県と兵庫県)「富浦」と「千歳」(室蘭・千歳線と内房線:北海道と千葉県)がある(厳密に言うと後者は同一線区上にはないが、千歳線と室蘭本線の沼ノ端以南は同一線区のごとく一体的に列車が運行されていて、両駅を乗換えナシで移動できる直通列車が上り、下りとも存在する)
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