二日目、長野を7時35分に発車する「あさま508号」は、上田-大宮間はどこにも停まらない最速の「あさま」です。
人気があるんだなーと思っていると、確かに指定席は満席でしたが、なんということでしょう。自由席はガラガラです。
上田からもたいして乗って乗ってくる乗客はいませんでした。
関西人であるサイキョージ氏にとっては、初めての長野新幹線でしたが、ゆうゆう自由席で、車窓風景を楽しまれたのはいうまでもないことです。
大宮から「こまち7号」に乗り継いで、仙台からの快速「こがねふかひれ」へリレーしますが、乗り継ぎ時間は6分しかありません。
それでも、しっかり乗り継げてしまう、日本の鉄道の定時性は本当にたいしたものです。
しかし、「こがねふかひれ号」の3号車が,自由席表示になっていたり、後ろの女性客が「窓際で頼んだのに通路側じゃないの!」とクレームをつけていたりと、何とも落ち着きのない出発となりました。
「こがねふかひれ号」のシートは横3列という変則的な座席配置であり、それを知らない駅員が、間違えて発行したものと思われますが、K博士はこういうことになると、本気でお怒りになるのでホントにこわい。
それはさておき、「こがねふかひれ号」は電化区間である小牛田までを快調にすっ飛ばしてゆきます。
ところで、形式を見るとキハ59 511とあります。
なんと「こがね号」は、国鉄時代には、急行用気動車として、日本全国くまなく走っていたあのキハ58を改造したイベント用車両なのです。
エンジンをはじめ、内装、外装ともに手が入れられており、往時の面影はわずかに側窓に感じられる程度ですが、オリジナルはもちろん、こうしたキハ58系改造車も、かなりその姿を消しており、今のうちに乗っておかねばならない車両です。
こんな車両をお選びになるとは、さすがは、サイキョージ氏ですね 。
でも、この列車を指定した。サイキョージ氏には、別の目的がありました。
今回気仙沼線の観光列車として仕立てられていることから、「ふかひれ」というネーミングをプラスした「こがね号」なのですが、「ふかひれ」とは、他でもありません。
高級食材であるあの「ふかひれ」が気仙沼の名物であることから名付けられたものです。
ちなみに、サイキョージ氏は、私の職場で「麺sクラブ」の会長だったお方です。
そんなサイキョージ氏が、気仙沼で、あの伝説の超高級ラーメン「ふかひれラーメン」を食するがために、ちょうどお昼時に気仙沼に着く「こがねふかひれ号」をおえらびになったのは、極めて自然なことと申せましょう。
とはいえ、なんというこだわり…
サイキョージ氏は「うまいふかひれラーメン食べさせてくれるお店つれてって!」
とだけ、タクシーの運転手に告げて中華料理屋へと向かいます。
今来た線路のガードをくぐって、「フカヒレ三昧」と大書したお店(新京本郷店)に到着しました。
後で地図をみてわかったことですが、気仙沼の駅は町の中心を迂回した北のはずれにあり結構後戻りしたことになります。
町の中心には、むしろ南気仙沼の駅の方が近く、多くの乗客がここで降りたのもうなずけます。
さて、ラーメンの登場です。
醤油味も、塩味も値段は変わらず2500円なり。
すこし、たじろいでしまいましたが、結局、ラーメン以外にふかひれシューマイやふかひれ丼も付いたセットを注文されました。(2800円なり)
お味はどうだったのでしょう。聞くのを忘れてしまいました。
ご想像にお任せします。
ここから、線路は大船渡線と名を変えて北へと向かいます。
お腹が満たされると、眠くなるものです。
でも、ここで寝てしまってはせっかく乗りに来た意味がありません。
懸命に意識を奮い起こし、終点の駅「盛」に到着します。
ここで三陸鉄道 南リアス線に乗り換えです。
あまり時間がないのにもかかわらず、切符を購入しなければなりません。
それも、南リアス線全線通しの料金が半額になるという青春切符の乗客限定の1日切符を買わなければ、今日は元(2300円)が取れないのです。
焦っていなかったといえば嘘になるでしょう。
なんとこの時、K博士は、デジカメを置き忘れてしまったのです。
ワンマン列車であるため、車掌に連絡を取ってもらうことはできません。
サイキョージ氏は、時刻表で三陸鉄道の電話番号を調べ、携帯電話をかけようとしますが、よく見ると、その場所は北リアス線の終点 宮古です。あまり意味がなさそうです。
さて、K博士は、どうしたでしょう。博士は、じっと時刻表を見つめ…。
「ほれい駅で降ります。この列車はその次で南行き列車と交換します。その南行き列車で盛駅に戻って、次の北行きに乗ります。釜石に着くのは1時間あまりの遅れですみます。風呂にでも入って待ってください。」
一日切符があるわけですから、何の問題もありません。
K博士は、予定より1時間あまりの遅れとはなったわけですが、笑顔でホテルに入られました。
その手にデジカメがあったのはいうまでもありません。
釜石でのお楽しみは、新鮮な魚介類です。
町のシンボルでもあった新日鐵釜石製鉄所はその高炉の火を落とし、名物の橋上市場もその姿を消し、すっかり寂しくなった釜石の町ですが、呑兵衛横町という左党泣かせの歓楽街が残っているのです。
釜石市もこれを観光資源にしてゆこうという意向なのでしょう。
ホテルでは、呑兵衛横町クーポンを2000円で用意しています。
3品+ビール+お酒でこの値段ですからお値打ちです。ここにお酒をいっぱい入れていただく升もいい記念になります。
地図に従って10分ほど歩くと、その横町はありました。
ビラにある通り、30件を越える飲み屋がずらりと並んでいます。
どの店も同じく一間半ほどの間口しかありません。
目移りするというか、どこがよいかなどという決定打がないため、うろうろしてしまうのですが、サイキョージ氏はその嗅覚で、さっさと「とんぼ」という店に入ってゆかれました。
カウンターだけのお店には、10名ほどが座れるだけの椅子が並んでいるだけです。
先客が2名ほどいらっしゃいましたが、ともに地元のお方です。
サイキョージ氏とK博士は鉄チャン談義に花を咲かせながらも、ママさんが出してくださる料理に舌鼓をうちます。
突き出し以外に出された3品は、ホヤ、カツオ、そしてサンマの刺身づくし、それがまた驚くほど新鮮で旨い。ふつうホヤというものは癖のあるもので、結構苦手にする人も多いのです。サイキョージ氏は、ホヤ初体験だったそうですが、新鮮だったからでしょう。
旨い、旨いを連発しておられました。
お酒もほどよくまわり、気分がよくなってくると、地元の方々も巻き込んで店は加速度的に賑やかになります。ラグビーの聖地でもある新日鐵釜石は健在で、かつてプレイヤー今は指導者という方とも語り合うことができました。
最後には、お酒も勧め、勧められ、また料理も同様で、たいそう高く付いたかなと思ったら、追加した焼酎分しか請求されず、ちょっと悪いような気さえした釜石の夜でした。
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