ある鉄チャンのお正月-k博士の場合
時刻表検定に於いては、JR線を用い一日24時間でどれだけの距離を乗車できるか。という問題が出たそうです。
答えは、時速300km最速の新幹線である山陽新幹線500系のぞみに折り返し何回も乗車し、新幹線の走らない深夜はスピードの速い夜行列車、つまり特急サンライズを利用することで距離を稼ぐことから得られます。
まあ、こういえば簡単そうですが、新幹線をどこで折り返せば500系のぞみに効率よく乗車できるか。またサンライズとは、いつどこでどのように乗り継げばよいのか。究極の最善策?を求めて時刻表トラベラーは頭をひねるのです。
時刻表トラベラーとしたのは他でもありません。実際こんな馬鹿なことをやれば、とてつもないお金がかかるわけで、それこそ机上の空論でしかないからです。
でも、こうしたトレーニングが役立つときもあるのです。
いわゆる「乗り放題切符」です。
JR西日本では、お正月に西日本全線乗り放題という切符を売り出します。
究極の時刻表トラベラーでもあるk博士は、このお正月(2008.1.1)、日頃の鬱憤を晴らすべく、こんな鉄旅を実行されました。
元旦とはいっても初日の出を待つ必要はありません。旅は、まず京都から始まります。
新潟行きの急行「きたぐに」は、0時2分に京都駅を出発します。
博士は、グリーン車にも乗車できるタイプの切符を購入されたのですが、残念ながら、グリーン車は満席で乗ることはできませんでした。 普段なら満席になることはまずない車両ですが、今日ばかりはグリーン車が乗り放題、こんな切符が出てるならと、同じように考える人間は、当然いるものです。ただ博士は、
「こんな日に、なんでわざわざサロン付のサロ581-100番台がついたシュプール&リゾート編成を使うんだ!」
とお怒りでした。サロンのスペース分、座席数が減っているからです。
急行「きたぐに」は、富山で下車します。4時28分です。
直江津までは乗車できますが、そのまま乗ってゆこうものなら、引き返すのが大変です。
4時55分発の特急「サンダーバード2号」で新大阪へ折り返します。
これもグリーン車は満席でした。
次は、新幹線です。新大阪8時27分発の「のぞみ1号」までの接続は10分。急ぎ足で新幹線ホームへ向かいます。
「のぞみ1号」は最新鋭のN700系を用いた東京朝イチの人気列車です。当然グリーン車は満席です。
小倉で下車します(10時33分着)。今度は10時44分発の「のぞみ18号」でまたもや
新大阪へと折り返すのです。
この列車には500系のぞみが、使われます。
博士の今回の旅のコンセプトには、「のぞみ」全車種のグリーン車に乗車するという目的があるのです。
これもグリーン車は満席でした。
「のぞみ18号」の新大阪着は12時51分。
時速300kmの走行感がまださめやらない内に、階段を駆け下り、在来線11番ホームに向かいます。
次は特急「オーシャンアロー17号」に乗車します(13時03分発)。
1号車が展望グリーン車となる283系はそれでなくとも人気の車両です。やはりグリーン車は満席です。
ところで、時刻表の旅では、列車の遅れなどを考える必要はあ��ません。
しかし、実際はというと、何があるかわからないというのが現実です。
日本の鉄道の正確さは改めていうまでもないことですが、それでも遅れは出てしまうものです。
この日もアクシデントがありました。阪和線内信号機の故障による遅れが発生してしまったのです。
新今宮駅の場内信号ひっかかってから、調子が狂ってしまいました。
天王寺でも5分停車、阪和線内ではトロトロ運転。
和歌山駅には33分の遅れで到着です。
本来の予定では、御坊で「オーシャンアロー22号(15時11分)」に乗り継いで、折り返す予定です。
博士は、和歌山駅で下車することもお考えになったのですが、なんとその時車内販売のお嬢さんに、ビールとめはり寿司を注文していたが為に、下車するにもできなかったのです。実際列車が混んでいるということもあり、車販嬢は1号車までたどり着けずにいたのです。
先行する普通列車(本来は、オーシャンアロー17号の18分後に和歌山駅発)は、定時に出ています、海南で追い抜くだろうと考えたのですが、加茂郷まで先行してしまいました。
1号車が展望車なので、こんな一部始終が見えてしまうのも胃の痛い話です。
下車駅の御坊でも、すんなりとは入線してくれません。
本来3番線に入るはずが、御坊-田辺間折り返しの普通列車がでんと居座っていて、和歌山へ折り返す列車のはいる2番線に入線せざるを得ません。
一旦停止の後、ゆるゆると徐行して入線します。
そんなこんなで御坊に到着したのが15時12分。
「もうオーシャンアロー22号の発車時間を過ぎておるではないか!」
2番線が、同じ和歌山方面ゆきのホームであるとはいっても、1番線とは跨線橋を隔てた隣のホームです。
普通、オーシャンアロー17号から22号へ折り返しで乗り継ぐ人はそうはいないため、博士は17号の乗務員に掛け合い、22号に乗車することを伝えていました。
とはいえ、ゆっくりしているわけにはゆきません。猛ダッシュで階段を駆け上がります。
1番線では、駅員が冷たい顔をして
「(22号を待たせているのは、)君らか?」
と罵声を浴びせます。
申し訳ない気持ちはあるものの、
「こんな言い方はないんじゃない!」
と腹が立ちます。
それにしても同じことを考えていた鉄チャンが、同じグリーン車に乗っていたなんて…
3分遅れで御坊を発車した「オーシャンアロー22号」ですが、和歌山ではもう遅れを取り戻していました。さすがですね。
新大阪には、もちろん定時の16時50分到着です。
次に乗車するのは、特急「スーパーはくと11号」。
17時36分まで、時間があるので夕食を買い込んでおきます。
普段は込んでいる11号ですが、グリーン車はガラガラでした。
「スーパーはくと」の次は「スーパーいなば10号」。
上郡で乗り継いでもいいのですが、
少しは智頭急行にも儲けさせてやろうと、佐用まで乗ることにしました。
とはいえ、着時刻と発時刻(19時12分)が同じで���。
少し危険な感じがしますが、
「単線であり、同じ島式ホーム。普通に考えても乗れないわけがない。」
と博士は、悩むこともありません。
---でも駅の構造を知っていないとこんなことはできませんよね。
「スーパーいなば10号」は、モノクラスの特急です。普通車で我慢します。
岡山からは、9分乗換で「マリンライナー61号(20時13分)」に乗車します。
児島まで往復するわけですが、まあこれは時間つぶしです。
今回の旅のコンセプトに 「のぞみ」全車種のグリーン車に乗車するという目的がある。
と前述しましたが、「のぞみ49号」が700系なもので、その発車時間(21時14分)までには、1時間あまりの余裕があったからです。
そんなわけで、「マリンライナー61号から62号」へと児島駅まで折り返し乗車することにしました。
同じグリーン車でも、JR四国の5100形には、展望グリーン席が4席あり、鉄チャンであれば、これを狙わない者はいません。
当然、博士も、この席を確保されたわけですが、やはり同じことを考えていた鉄チャンはいるもので、同じように児島で折り返す方がいました。
座席の位置まで往復とも全く同じで、
「なんだか気持ちが悪くなってしまった。」
と博士はおっしゃいました。
さて、次の「のぞみ」は、700系のはずです。
ところが、21時14分発「のぞみ49号」は、なんとN700系でやってきました。
あとで時刻表を見直してみると、直前の12月18日に車種が変更されていたのです。
「うーんがっかり。」
完璧を目指す博士のこと、かなりめげてしまわれたようです。
まだ700系に乗れる可能性も見いだされたのですが、福山4分乗り継ぎはちょっとキツイ。もう体力の限界に来ていると考えた博士は、予定通りの行程で帰ることにしました。
次の折り返しは広島です。ここで折り返さないともう帰れません。
新大阪ゆき最終の「のぞみ」となる500号は、500系のぞみです。
この旅に於いては、乗り過ごしは命取りです。
でも「のぞみ500号」は新大阪止まり。
さすがにこの列車ばかりは、爆睡されたそうです。
新大阪着は23時39分。
快速電車に乗り換えて、高槻にお帰りになったときは日付が変わって、0時13分になっていました。
ご苦労様でした。
ちなみに、これだけのことを
普段にやろうとすれば、14万円はかかるとのこと…。
18000円の切符をしゃぶりつくしたわけですね。
うーん
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